2019年1月15日の「この差って何ですか?」で、「きのこの健康効果の差」が放送されました。
この時期、食卓に並ぶ健康食材「きのこ」。実は、きのこの種類と食べ方によって、その健康効果に大きな差があるといわれています。
そこで、インフルエンザ予防にもなる免疫力アップ、高血圧予防、慢性疲労からの回復に注目して、しいたけ、まいたけ、えのきなど、どのきのこを食べればより効果的なのかをご紹介します。

寒さが本格化してくる冬の時期、身体の免疫細胞の働きが弱くなってしまい、体内にウイルスや細菌が入ってきます。
もし、やっつけることができないと、風邪やインフルエンザなどの病気にかかりやすくなってしまいます。そのため、冬は免疫力アップをさせておく必要があります。
免疫力アップには、α(アルファ)グルカンが効果的で、体内に入ると、免疫細胞の働きを活性化させます。
しかし、きのこの種類によって、α(アルファ)グルカンの量に差があるのです。
きのこのなかで、α(アルファ)グルカンが最も多く、効果的なのはまいたけです。さらに、インフルエンザの予防にも効果的です。
「ごぼう」と一緒でさらに免疫力アップ!
免疫力がより高まる食べ合わせは「まいたけ+ごぼう」です。
ごぼうには、イヌリンという成分が入っています。イヌリンは、α(アルファ)グルカンと一緒に摂ることにより、免疫細胞の働きをより活性化し、病気になりにくくなります。
「まいたけとごぼうの簡単きんぴら」
まいたけはシャキシャキした食感で、ごぼうはとても歯ごたえが良い食材です。どちらも醤油で甘辛く炒めるととても美味しいので、「きんぴら風の炒め物」がおすすめです。
<材料>
作り置き「600mlの保存容器に入る量」
まいたけ 2パック・200g
ごぼう 1本・150g
醤油 大さじ2
みりん 大さじ2
<作り方>
①ごぼうは、皮ごと薄切り、水にさらしてアク抜きする。
②まいたけを切る。
*まいたけは包丁で切らずに手で裂くこと。これにより、断面積が大きくなって味が染み込みやすくなります。
③ごぼうを中火で約2分炒め、そこにちぎったまいたけを加え約30秒間炒める。
④水を加える。
*水を加えることで蒸し焼きになり、早く火が通ります。
⑤醤油、みりん、水を加え、汁気がなくなると完成。
*保存容器で冷蔵保存すれば、5日ほど食べられます。
●料理研究家 木田マリおすすめの食べ方
ご飯のお供としても良いですが、和風パスタがおすすめ。料理のポイントはバターを加えて炒めること。きんぴらの方に、醤油とみりんで甘辛味がついているので、パスタのゆで汁の塩分でちょうど良くなります。

糖分や脂を摂り過ぎると血液の塊ができてドロドロ状態になってしまいます。
その結果、血流が悪くなり、血圧が上昇してしまいます。
さらに、冬は運動不足で血液がドロドロになりやすいので、血圧が高い人は要注意な季節です。
ところが、きのこを食べると、きのこに含まれるグアニル酸という成分が、血液の塊を分解するため、血液がサラサラになり、血圧を下げることができるのです。
きのこのなかで、グアニル酸が最も多く効果的なのは「しいたけ」です。
「グアニル酸」が多いのは「干ししいたけ」
干ししいたけは生しいたけよりグアニル酸が多く含まれます。
さらに、グアニル酸が増える戻し方は、氷水で戻すこと。
グアニル酸は、10〜50℃だと分解されて減少してしまいます。一方、水温5℃で戻すと多く残ります。氷水(5℃)で戻すと、お湯(60℃)で戻すより3倍も多くなります。
お湯で戻すと時短という話もありますが、氷水でもお湯でも時間は同じです。おすすめの戻し方は、氷水などに浸して冷蔵庫で戻すことです。
「ショウガ」と一緒でさらに高血圧予防アップ!
食べ方によって高血圧予防効果がより高まります。その食べ合わせは「しいたけ+ショウガ」です。
ショウガにはジンゲロールという成分が入っています。ジンゲロールは血管を広げる役割があり、血圧が下がります。しいたけ(グアニル酸)の血液サラサラ効果と、ショウガ(ジンゲロール)の血管を広げる効果が合わさることで、血圧の上昇を抑えます。
「シイタケとショウガのアヒージョ」
しいたけとショウガはオリーブオイルとの相性が良いので「アヒージョ風の料理」がおすすめです。
<材料>
干ししいたけ 10枚
ショウガ 30g
オリーブオイル 大さじ8
アンチョビ 6枚
赤唐辛子 2本
<作り方>
①氷水で戻したしいたけの軸を切り落とし、4等分に切る。
*大きめに切ることで食感を生かします。
②ショウガを薄切りにして半分に切る。ニンニクはみじん切り。
③フライパンにオリーブオイル、ニンニクを入れ、弱火で加熱し、ニンニクの香りをつける。
④赤唐辛子、アンチョビを入れる。
⑤油から良い香りが立ってきたら、しいたけとショウガを加える。
*弱火でじっくり加熱すると、しいたけがふっくら柔らかく仕上がります。しいたけは強火にかけると硬くなってしまうので、弱火でじっくり加熱するのがポイント。
⑥弱火で約7分間加熱したら完成。
*保存容器で冷蔵保存すれば、5日ほど食べられます。
〇料理研究家 木田マリのおすすめの食べ方
パンのトッピングとしてもおいしいですが、おすすめは焼きめし。基本的に味がしっかり付いているので、調味料がなくても大丈夫です。作り方のポイントはオイル。アヒージョの油を炒め油に使います。

寒さが本格化してくる冬の時期は、体温調節に多くのエネルギーを使うので、身体が疲れやすくなっています。そんな疲れを回復させるために糖分を摂る方も多いですが、糖分だけではエネルギーにはなりにくいのです。
そこで、糖分を効率よくエネルギーに変えるためには、きのこなどに含まれているビタミンB1が必要です。ビタミンB1は糖分のエネルギー変換を助ける役割があるので、疲れた身体を回復することができるのです。
ビタミンB1が最も多く効果的なのは「エノキタケ」です。
ご飯や炭水化物などの糖質と一緒にエノキタケを食べると、疲労回復に効果的です。
保存方法によってきのこの栄養成分量が変わる!?
きのこの栄養成分をより多く得られる保存方法は「冷凍保存」です。
きのこの細胞は、細胞壁が硬く、栄養成分が閉じ込められています。そこで冷凍することにより、中の水分が膨張していき、細胞壁が壊れ、栄養成分が出てくるのです。
ニンニクと一緒で「疲労回復効果」がアップ!
疲労回復効果がより高まる食べ合わせは「エノキタケ+ニンニク」。
ニンニクにはビタミンB6という成分が入っています。ビタミンB6は、ビタミンB1の働きを助ける役割があり、吸収した糖から多くのエネルギーを作ることができるようになります。
「エノキタケとニンニクの特製ダレ」
エノキタケは、どんな料理に入っても美味しく、ニンニクは料理の味のアクセントや風味付けに欠かせません。この2つを使って色々な料理にかけられる特製ダレを作るのがおすすめです。
<材料>
エノキタケ 1株・200g
すりおろしニンニク 5g
長ネギ 50g
砂糖 小さじ1
ごま油 大さじ1
醤油 大さじ3
<作り方>
①エノキタケを細かく切る。
②エノキタケを耐熱ボウルに入れたら、ラップをかけて電子レンジで加熱(600ワットで2分間)。
*出てくる水分にも旨味と栄養成分がたっぷり含まれているので、残さず使います。
③砂糖、醤油、長ネギのみじん切り、すりおろしニンニクを入れる。
④約1分間熱したごま油をニンニクとネギにかける。
*これにより、ニンニクとネギの香りが引き立ちます。
*保存容器で冷蔵保存すれば、5日ほど食べられます。
〇料理研究家 木田マリおすすめの食べ方
豆腐や蒸し鶏、餃子のお供としてもおいしいですが、お餅にかけるのがおすすめです。さらに餅は、焼き餅も良いが、ゆでたり、電子レンジで温めたお餅の方がタレとよく絡むのでおいしくなります。
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まとめて作っておくことで、さまざまな料理に使えるので便利ですね。
おいしく食べて、免疫力アップ、高血圧予防、慢性疲労からの回復に役立てましょう。