2018年10月31日(水)放送の「ガッテン!」で、「免疫力」について紹介されました。
免疫は私たちの身体に備わった大切な仕組みです。風邪や肺炎はもちろん、がんなどの様々な病気から身を守る働きをしています。
リンパ球は白血球の一種で、ウイルスやがん細胞などからからだを守る免疫細胞で、いわば免疫機能の主役です。リンパ球は血管を通って体内をパトロールし、ウイルスなどの敵を退治する働きをもっています。
しかし、免疫力が低下しているとリンパ球の数が少なくなり、体内のパトロールが間に合わず、感染細胞やがん細胞が増殖して症状が悪化します。
つまり、リンパ球の数を減らさないようにすることが大切なのです。
風邪をひきにくい「スーパー免疫力」を持つ人は、ウイルスと戦うときに必要なリンパ球の数をコントロールする力が優れていることがわかりました。
リンパ球の働き方には2つのモードがあることが最近の研究で注目されています。リンパ球が体中を巡ってウイルスに感染した細胞やがん細胞を見つけて退治する「パトロールモード」と、リンパ節と呼ばれる組織に留まり、病原体などについて学習する「学習モード」です。
この2つのモードを適切に切り替えることによって、免疫システムがうまく保たれているのです。
そして、この2つのモードのコントロールには交感神経が深く関係しています。
交感神経は血圧や心拍数をコントロールし、運動やストレスなどで活性化します。この交感神経は身体中のリンパ節にびっしりと絡みついています。
激しい運動やストレスによって交感神経が活性化すると、リンパ球はリンパ節の中にとどまったままで血液中に出ていきません。ところが交感神経が緩むとリンパ球は血液中に出ていき、ウイルスと戦ってくれるのです。
現代人はストレスや睡眠不足で交感神経が緊張しっぱなしでリンパ球の出入りがうまくできません。しかし、スーパー免疫力を持つ人は、交感神経のメリハリがうまくついていて、リンパ球の学習とパトロールのモードを効率的に働かせられるため、風邪をひきにくいというわけです。
交感神経が活性化すると「学習モード」に、交感神経が緩むと「パトロールモード」になります。しかし、ストレスや睡眠不足が続くと交感神経が活性化したままになり、2つのモードの切り替えがうまくいかなくなります。
そこで、交感神経の働きを抑えて、免疫システムを機能させるためには2つのポイントがあります。
1.十分な睡眠
睡眠は交感神経の働きが落ち着くゴールデンタイムです。そのため、十分な時間の睡眠をとることは免疫の働きを高めるうえでとても大切です。
海外の研究によると、睡眠時間が6時間未満の人は7時間以上の人より4倍以上風邪を引きやすいという結果が出ています(カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究)。
2.日中の休息
日中にもこまめにリラックスしてパトロールモードを作ることが大切です。ストレスを感じたり、多忙で睡眠が十分とれなかったりするときに、短時間でも「昼寝」や「自分の好きなことする」など、リラックスにつながる行動をとることで免疫力をアップさせます。
昼寝は午後1時~3時の間で、30分以内が目安です。
ただし「好きなことをする」ときも、興奮することや激しい運動は、交感神経を逆に活性化させる可能性もあるので注意が必要です。
規則正しい生活をして休息や睡眠をしっかり取るだけでなく、日中にも適度に交感神経を緩めることが、免疫機能にとって重要だと考えられています。