便秘も長くなると「薬を飲んだ方がいいかも」と考え始めると思います。そんなとき、薬局でどんな薬を買ったらいいかわからない人も少なくないはず。便秘薬・下剤の種類も多数あるので、まずは自分の便秘のタイプを知ってから、症状に合った薬を選ぶようにしましょう。
●タイプ1:硬い便。残便感。
腸管の動きが悪くなるのが弛緩性便秘です。腸管の緊張がゆるんだり、筋力が低下して便を押し出すことができなくなったり、大腸のぜん動運動が十分行われなくなり、大腸内に便が長くとどまります。
◎弛緩性便秘に合う下剤
大腸刺激性下剤・塩類下剤・膨張性下剤
腸管を刺激して動かしたり、便のカサや水分量を増やすことにより排便をスムーズにさせます。
■大腸刺激性下剤:大腸粘膜を刺激してぜん動運動を促進し、排便をスムーズにします。効果が現れるまでに6時間ほどかかるので、寝る前に服用します。
■塩類下剤:腸に水分を集めて、便に水分を吸収させてやわらかくします。
■膨張性下剤:便の量や水分を増加させて排出しやすくします。
●タイプ2:食後の腹痛。コロコロ便。
腸管が緊張して便がうまく運ばれない状態を痙攣性便秘といいます。自律神経がバランスを崩すことで大腸が緊張しすぎてしまい、便がうまく運ばれずにいる状態です。下剤の乱用で腸が過剰にぜん動運動をすることでも起きます。
◎けいれん性便秘に合う下剤
塩類下剤・膨張性下剤
腸管が緊張により痙攣しているため、便を柔らかくして出しやすくするものを使用します。
■塩類下剤:塩類の高い浸透圧で水分を吸収して腸管内の水分量を増やし、便を柔らかくして便意を促進します。たくさんの水で服用するのが効果的です。
■膨張性下剤:多量の水分を含んで膨張するため、便を柔らかく増大させてぜん動運動を促進します。
✖けいれん性便秘に使ってはいけない下剤:刺激性下剤
けいれん性便秘は腸が活発化しているので、刺激性下剤を使うと腹痛がひどくなって、さらに便秘が悪化するおそれがあります。
●タイプ3:出そうで出ない。便意がない。
排便反射が鈍くなることによって直腸性便秘となります。便意があるのに排便を我慢することを繰り返したために、便意が脳に伝わらないために便意が起きなくなります。硬くなった便が停滞して排便できなくなる状態です。
◎直腸性便秘に合う下剤
坐薬・浣腸
肛門の近くに硬い便が溜まっていることが多いので、下剤を飲むよりも坐薬や浣腸の方が解消されやすくなっています。直接刺激を与えるので即効性があります。
■坐薬:肛門から下剤を挿入し、大腸に直接刺激を与えます。
■浣腸:肛門から注入して、直接腸を刺激する液剤です。腸壁からの粘液と水分の排泄を促し、その刺激によりぜん動運動を促進します。グリセリンには粘滑性があるので排便が容易になります。
✖器質性便秘の場合は、下剤は禁忌
腸閉塞や大腸癌などの腸に原因のある場合の便秘を器質性便秘といいます。胃や小腸、大腸、肛門などの疾患で腸管が狭くなったり、また、先天的な原因で腸の長さや大きさに異常が生じていることで便の通りが悪くなることによります。
便に血液や粘液が混ざる、激しい腹痛や嘔吐などの症状があらわれることもあります。腸に穴が開く可能性もあるので自己判断で下剤を使用することは避け、すみやかに病院を受診してください。
★具体的な市販薬はこちらを参考にしてください。
あなたに合ったおすすめ便秘薬|〔効能別〕市販の便秘薬・下剤の種類と選び方市販の便秘薬・下剤の種類
便秘にもタイプがいろいろあります。自分の便秘はどんなタイプなのかを見極めて、症状に合った便秘薬・下剤を選ぶようにしましょう。ただし、頼りすぎると常習性があるので、一時的なものとして留めることも大切です。