ぽっこりおなかが治らない。
ダイエットがうまくいかない。
ニキビや吹き出物が治らない。
いつもイライラしている。
口臭がひどくなってきた気がする。
これらの悩みの原因は便秘にあるかもしれません。便秘になるとおなかがゴロゴロするだけでなく、からだのあちこちに不調を起こし、放っておくと心の不調や思わぬ病気まで引き起こす危険性もあります。今すぐできる解消法を身につけて、つらい便秘とさよならしましょう。
そもそも便秘とは「3日以上排便がない。または、毎日排便があっても少量しか出ず不快感がある。」状態のことをいいます。
一般的に口から食べ物が入って肛門から出ていくまでは72時間だと言われているので、だいたい3日以上排便がないと便秘と考えます。逆に毎日排便があっても下記の状態なら便秘と判断されます。
・コロコロとした硬い便が少量しか出ない
・残便感があってすっきりしない
・便やおならが臭い
・腹痛や膨満感がある
便は水分や食べかすのほかに、古くなった腸粘膜や腸内細菌でできています。健康的な腸でつくられる理想的な便は、水分が80%程度で、バナナ状のもの。においも強くなく、表面は平たんで滑らかです。
①病気がひそんでいる「器質性便秘」
イレウス、大腸がんなどの器質的な原因があり、消化管に通過障害が起こるタイプです。血便、激しい腹痛、嘔吐などがあればすぐに専門医にかかりましょう。
②腸の機能が低下「機能性便秘」
食生活や生活リズムの乱れによる便秘です。一般的に便秘と言われるいるものがこれに当たります。機能性便秘はさらに、大腸の運動が低下した「弛緩性便秘」、直腸に便が停滞する「直腸性便秘」、便がスムーズに送られない「けいれん性便秘」の3つに分かれます。
③生活環境の変化で起きる一時的な「一過性便秘」
旅行に行った、進学や就職で生活環境が変わった、ダイエットで食生活が変わったなど、普段と生活リズムが変わったときになりやすい便秘。原因となるものが取り除ければ治りますが、早めに対処しないと慢性化になることもあります。
加齢とともに腸の機能は低下し、便秘はぐっと急増します。
●腸内に悪玉菌が増える
腸を健康に保つ乳酸菌やビフィズス菌などの「善玉菌」は加齢とともに減る傾向があります。比例して悪玉菌の割合が増えるため、便秘が起こりやすくなります。
●栄養を吸収できなくなる
胃で消化された食べ物は小腸へと流れていき、大部分の栄養が吸収されます。吸収しきれない一部分とビタミン、水分が大腸で吸収され、残りが便となります。小腸の機能が衰えてくると、本来は大腸にいかないはずの栄養素が流れ込み、悪玉菌が増え、腸内環境が悪化していきます。
●便を出す力が衰える
大腸内で便を肛門に向かって送り出すぜん動運動が低下したり、排便に必要な肛門まわりの筋肉や腸や暴行を支える「骨盤底筋」が衰えたりすると排便力が低下し、便秘になっていきます。
●免疫力の低下
食物アレルギーや花粉症などのアレルギー疾患や関節リウマチなどの自己免疫疾患、風邪やインフルエンザなどの感染症を起こしやすくなります。
●肥満
血液がサラサラであれば本来栄養は全身に届けられますが、腸内環境が悪いと血液もドロドロになり、栄養素の吸収がうまくいかなくなり、細胞周辺に栄養が蓄積されることで皮下脂肪や内臓脂肪となってしまいます。また栄養の吸収ができず全身の活動が低下すると代謝機能が落ち、脂肪が燃えにくくなるため、さらに肥満へとつながります。肥満の人の腸内は悪玉菌が優勢で、やせ菌が少なくなっていることもわかっています。
●イライラ
腸内環境が乱れているとストレスホルモンが分泌されやすくなり、イライラしたり、キレやすくなったりする可能性があります。「出ない」というストレスから余計に便秘がひどくなる場合もあります。
●肌トラブル
老廃物が排出されず新陳代謝が低下することにより、悪玉菌が増え、有害物質がたまることで肌荒れや吹き出物を招くことになります。また、便秘は精神的なストレスの約6倍も肌荒れへの影響を及ぼすとも言われています。
●肩こり・腰痛
便秘で血行が悪くなると疲労物質が溜まりやすくなり、肩こりや腰痛が起こります。また、冷えやむくみ、月経不順などの原因にもなります。
●口臭・体臭
悪玉菌が増えすぎたり、便秘の状態が長く続くと、大腸の中でアンモニアなどの悪臭の元となるガスが発生しやすくなります。さらにガスが排出されないと、血流によって全身にまわってしまい、口臭や体臭の原因になります。おなかがパンパンでおならが臭いなら便やガスが溜まっている証拠です。
腸内細菌には良い働きをする「善玉菌」と悪い働きをする「悪玉菌」がいます。「悪玉菌」はタンパク質を分解して便やおならの悪臭の元となる腐敗物質を作ります。腸に便が停滞すると「悪玉菌」が増殖して、さらに腐敗物質を増やし、腸の機能を低下させるだけでなく、病気を招きやすくすることもあります。
一方「善玉菌」は「悪玉菌」の増殖を抑え、健康な状態に保つ働きをしながら、免疫力の向上や感染症の予防などの働きもしてくれる重要な役割を担ってくれているのです。
●「発酵食品」は善玉菌を活性化
納豆やヨーグルトなどの発酵食品には、腸内細菌の仲間である微生物が含まれ、善玉菌を活性化させてくれます。さらに悪玉菌が増えるのを防ぐ効果があります。
●善玉菌を増やす「水溶性食物繊維」
海藻やアボカド、ごぼうなどの水溶性食物繊維は、善玉菌を増やして腸内細菌のバランスを整えてくれます。また水分量を増やすことで便をスムーズに排泄します。さらに脂肪を燃焼させてやせやすい体質にする効果もあります。
●善玉菌のエサになる「オリゴ糖」
善玉菌を増やす働きのあるオリゴ糖はバナナ、玉ねぎ、はちみつなどに含まれます。乳酸菌やビフィズス菌のエサとなり、善玉菌だけを効率よく増やします。
「オリゴ糖」の効果がアップする食べ合わせ
●健康維持に必須「EPA・DHA」
腸内に有害物質が溜まると大腸に炎症を起こします。繰り返すとDNAが損傷し、大腸がんや大腸炎、ポリープなどを生じやすくなります。EEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は体内で抗酸化作用を発揮し、腸の炎症を抑制、腸内環境を整えます。
●水分をしっかり摂る
水分が不足すると便が硬くなり、便秘を引き起こしやすくなります。1日に1~1.5ℓを目安に水やお茶を飲むようにしましょう。寝起きや空腹時にコップ一杯の冷水を飲むとぜん動運動の刺激になります。
●朝食は毎朝きっちりとる
朝食をとらない人の30~50%が便秘だという結果もあるほど、朝食は腸のリズムを整える大切な役割をしてくれます。一日の初めに朝食をとることは胃腸の運動を促進します。できればあたたかいものを取り入れて、胃腸をあたためましょう。
●ストレスを解消する
心理的なストレスがたまると自律神経のバランスが乱れ、腸の働きまでも悪くなって便秘になります。心理的要因を取り除くことが大切になります。
●十分な睡眠をとる
睡眠中は副交感神経が優位に働いています。便は副交感神経が働いている(リラックスしている)ときに作られます。つまり、睡眠不足で自律神経が乱れることにより、便が作られずに便秘を起こしてしまいます。6時間以上の睡眠をとるようにしましょう。
●トイレは毎朝5分以上
便意が起こりやすいのは朝食後です。毎日決まった時間にトイレに行って便する習慣をつけましょう。便意がなくても5分はすわる癖をつけて、規則的な排便のリズムを作りましょう。
また、仕事中など思うようなタイミングでトイレに行くのが難しい場合を除いて、便意は我慢しないことが一番です。便意が起きても排便をしないと次第に自律神経の働きが悪くなり、便意を感じにくくなってしまいます。
●運動で排便力をあげる
ウォーキングなどの運動は自律神経のバランスを整え、排便をスムーズにする効果があります。腸のまわりの筋肉が弱ってくると腸の動きが鈍くなるので、鍛えて便を押し出す力をつけましょう。すっきり出すことで残便感も減ってきます。
便秘が長く続いてどうしようもなく、下剤に頼らなければいけないときもあります。そんなときは、腸ではなく便の質を変えて排便を容易にする「機械性下剤」、直接腸に作用して刺激を与える「刺激性下剤」など、自分の便秘の症状に合った正しい薬を選択してください。間違ったものを服用すると効き目が悪かったり、副作用が出たりすることもあるので、わからなければ薬剤師さんに相談するのが一番です。
その他にも座薬や浣腸などがありますが、決して常用しないように注意して使用しましょう。
腸内環境が整うと、幸福を感じるときに脳内で分泌される「セロトニン」ややる気を引き出す「ドーパミン」などの幸せホルモンがたくさん分泌されるようになります。ガンコな便秘はすぐに解消して、心もからだもハッピーになりましょう。